前回の記事では、「レッスン完結」として、おうち練習に頼らずに続けられるピアノ教育についてお話しました。
その中で触れた「正解のない練習」──実はここに、子どもたちの大きな成長のカギが隠されています。
学校の勉強とピアノの違い
学校での学びは、基本的に「正解がひとつある」ことが多いですよね。
算数の答えも、漢字の書き方も、決まった正解が存在します。
もちろんそれはとても大切な学びです。
でも、子どもたちの成長には 正解がない問いにどう向き合うか という経験も必要だと私は思います。
ピアノや音楽は、まさにその世界です。
音楽には「答え」がひとつじゃない
同じ曲を弾いても、弾く人によって全く違う響きになります。
強く弾くのか、やさしく弾くのか。速く弾くのか、ゆっくり弾くのか。
どれも間違いではなく、その子の「感じ方」が表れるのです。
レッスンの中で「この曲を、雨の日の気分で弾いてみよう」と声をかけると、子どもによって出てくる音はさまざまです。
静かな雨を表す子もいれば、雷のような激しい雨をイメージする子もいます。
それぞれが正解。むしろその違いが素敵なのです。
正解がないからこそ育つ力
こうした音楽の学びを通じて育つのが、
- 自分の気持ちを表現する力
- 新しいものを生み出す力(創造力)
- 他の人の表現を受け入れる心
これらは、これからの時代に欠かせない力です。
AIやテクノロジーが発達しても、人間にしかできないことは「感じて表す」こと。
ピアノのレッスンは、その力を小さなころから自然に育んでくれます。
自信につながる体験
「間違ってないかな…」と心配しながら弾くのではなく、
「こう弾きたい!」という気持ちで音を鳴らせたとき、子どもはぐんと自信を持ちます。
そして、その自信はピアノの中だけにとどまりません。
学校生活や人間関係の中でも「自分の考えを持っていいんだ」と思える力に変わっていきます。
まとめ
ピアノは「正解のない学び」。
だからこそ、子どもたちは音楽を通じて、自由に考え、表現する喜びを知ることができます。
それは、テストの点数では測れないけれど、一人ひとりの未来を支える大切な力です。
私は、そんな“正解のない学び”を子どもたちに届けられることを、日々幸せに感じています。