ピアノのレッスンで大切にしていることの一つに「想像力」と「創造力」があります。
どちらも似ているようで、少し違います。
想像力は、まだ見たことのない世界を頭の中で思い描く力。
創造力は、その思い描いたものを形にして実際に生み出す力。
この2つがピアノのレッスンの中で自然と育っていきます。
音からイメージを広げる
たとえば、ある4歳の生徒さんに「高い音はどんな感じがする?」と尋ねると、
「雪がキラキラ落ちてる!」と答えてくれました。
その子はその後、自分から高い音をつま先で立つように弾きながら「雪〜!」とにっこり。
音を聴いて、そこから場面を想像し、弾き方で表そうとする姿に、まさに想像力と創造力が芽生えていると感じました。
自分の音楽をつくる
もう少し大きくなると「創造力」がぐっと前に出てきます。
小学生の生徒さんが、和音を一つ弾いて「これっておばけが出てくる音みたい!」と笑いながら、自分で小さな「おばけの曲」を作ってくれたことがありました。
楽譜に書かれた曲を弾くだけでなく、自分で音を組み合わせ、曲に仕立てていく。
その過程で「自分の感じたことを音にできるんだ!」という大きな自信につながります。
想像力と創造力が広げる世界
想像力や創造力は、ピアノに限らず人生のあらゆる場面で役立ちます。
「こんなふうにやってみたら?」と発想を転換したり、
「自分だけの答え」を見つけたりする力。
ピアノを通して音の世界に触れることで、子どもたちは遊び心を持ちながら自然にその力を育んでいきます。
そして「自分のイメージを音にしてもいいんだ」という経験が、学びへの前向きな気持ちや、新しいことに挑戦する勇気につながっていきます。
おわりに
ピアノは「正解が一つしかない教科」ではありません。
同じ曲でも、子どもの数だけ、響かせ方や感じ方があります。
だからこそレッスンでは「その子がどんなふうに感じたのか」を大切にし、自由に表現できるように寄り添っています。
子どもたちには、ピアノを通して想像力と創造力を伸ばしながら、自分の世界をどんどん広げていってほしいと願っています。
