〜自信が芽生える過程を、ピアノレッスンから〜
自信は、いきなり生まれない
「自信をつけさせたい」という言葉を、よく耳にします。
でも実は、自信は“できた”という結果から生まれるものではありません。
その前にある、「やってみたい」「やってみた」「もう少しできたかも」という、たくさんの“途中”の積み重ね。
それが、心の中に少しずつ根を張っていくのです。
「やってみようかな」が芽吹く瞬間
レッスンの中で、「これ、やってみる?」と差し出したカードを見て、
「うん!」と笑顔で手を伸ばすあの瞬間。
それはもう、最初の一歩。
まだ結果は出ていないけれど、「やってみたい」という気持ちが動き出した時点で、すでに自信の芽は芽吹いています。
小さな“できた”が、次の勇気になる
たとえ少し間違えても、「さっきよりできたね」「音がよく聴けたね」と、
努力を見つけて言葉にしてあげること。
子どもたちはその声を、心の中で何度も繰り返しながら、
「できたかも」「もう一回やってみよう」と、自分で力を出せるようになります。
この“自分で力を出せた”という感覚こそが、
本物の自信のはじまりです。
成功よりも、“見守られながら挑戦した経験”を
完璧に弾けることよりも、
「失敗しても大丈夫」「見守ってもらえている」と感じられる安心が、
挑戦を続ける力を支えます。
安心があるから、失敗を恐れずに挑戦できる。
挑戦を重ねるから、できることが増える。
その循環の中で、ゆっくりと“自信”は育っていきます。
「自信」は、“できた!”の先に花ひらく
たくさんの“やってみた”を経て、ついに訪れる「できた!」の瞬間。
それは、長い時間をかけて育ててきた心の花が、ふっと咲いたようなもの。
ピアノのレッスンは、弾けるようになる練習ではなく、
“自分を信じる力”を育てる時間でもあります。
今日も、子どもたちが心の花を咲かせる瞬間を楽しみに、
ひとりひとりの「途中」を見守っています。
